乗合自転車の雑記帳

広島関連、漫画・アニメ関連の話題が多くなると思います。主にTwitterの補完として。

2013秋アニメ調査

アニメ調査室(仮)さんで行われているアニメ感想調査。私も参加してみることにしました。
D以下がないのは、作り手に対するリスペクトと解釈して下さい。

2014冬調査(2013/10-12月期、終了アニメ、35+6作品)

 

01,メガネブ!,C

02,COPPELION,C

03,殺し屋さん,x

04,みにヴぁん,x

05,ぎんぎつね,A

 

06,境界の彼方,B

07,WHITE ALBUM2,B

08,ガリレイドンナ,B

09,のんのんびより,S

10,京騒戯画 (TV版),C

 

11,DIABOLIK LOVERS,x

12,踊り子クリノッペ,x

13,てーきゅう 第3期,B

14,てさぐれ! 部活もの,B

15,ダンボール戦機WARS,x

 

16,義風堂々!!兼続と慶次,x

17,機巧少女は傷つかない,B

18,BLAZBLUE ALTER MEMORY,C

19,夜桜四重奏 ハナノウタ,A

20,声優戦隊ボイストーム7,x

 

21,ワルキューレ ロマンツェ,A

22,にゅるにゅる!!KAKUSENくん,x

23,リトルバスターズ! Refrain,A

24,アウトブレイク・カンパニー,B

25,忍者ハットリくん (インド版),x

 

26,世界でいちばん強くなりたい!,B

27,物語シリーズセカンドシーズン,B

28,IS インフィニット・ストラトス 2,B

29,フリージング ヴァイブレーション,B

30,ミス・モノクローム The Animation,B

 

31,蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ,A

32,革命機ヴァルヴレイヴ 2ndシーズン,C

33,Super Seisyun Brothers 超青春姉弟s,B

34,勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。,A

35,俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している,A

 

36,ソードアート・オンライン Extra Edition,B

37,ひだまりスケッチ 沙英・ヒロ卒業編,A

38,きょうかいのかなた アイドル裁判!,x

39,はいたい七葉 (2期、AT-X放送分),B

40,蟲師 特別篇,A

 

41,爆TECH!爆丸ガチ,x

 

{総評、寸評など}

09,のんのんびより,S
数ある2013年のアニメの中で、私が最も気に入った作品です。
よくあるゆるゆる日常系のように思われがちですが、「演出力」においては2013年のテレビアニメの中でもトップクラスです。風景描写が延々と続くようなシーンでも退屈さを感じさせない技は感服もの。一人でも多くの人に見てもらいたい名作です。

23,リトルバスターズ! Refrain,A
声優陣の熱演が光る一作。緑川光さんには個人的に2013年の最優秀助演男優賞を贈りたいです。美少女ゲーム原作ではありますが、女性ファンにもおすすめできます。

34,勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。,A
2013年は「勇者と魔王」をいじる系のノベルが複数アニメ化されましたが、これもそのひとつでした。勇者くずれの主人公と魔王の娘との交流やドタバタを丁寧に描いていて、ファンタジーものなのに社会派という時代に即した作品にもなっていたと思います。

初参加です。よろしくお願いします。

のんのんびより

完全に放置状態のブログでしたが、久々に語りたくなった作品に出会ったので、ブログに書くことにします。

2013年秋アニメのひとつとして放送が始まった「のんのんびより」。KADOKAWAメディアファクトリー)の月刊誌、コミックアライブに連載されている漫画が原作です。
田舎を舞台にして、4人の女の子(と1人の…)他の日常を描いています。日常系というとまんがタイムきらら系を想起しますが、内容的には「よつばと!」や「苺ましまろ」に近い方向性と言えます。

この作品の素晴らしいところは、田舎の描写が丁寧なところ。そのうえ、田舎という舞台装置を活かしつつも4人のキャラクターを立たせてストーリーを見事に転がしているところ。一見すると都会や近郊が舞台でも成り立ちそうな感じはするのですが、全校生徒5人の小さな学校だからこそできる独特の空気感なのかもしれません。

アニメは1話冒頭から田舎の牧歌的な雰囲気で包み込んで、ゆったりスロー癒やし系な作風を見せています。しかしながら間延びした感じは全くなく、むしろてきぱきとテンポ良く進んでいるとさえ思えてしまいます。この手腕は見事の一言です。本作を手がけた川面真也監督は今後チェックすべきアニメ監督であると言えます。

とりわけ感動したのは、4話Bパート。田舎に帰省してきた女の子と友達になるも、突然の別れ…という話なのですが、長回しでその別れの悲しさを表現するという相当ハイレベルな演出をやってのけています。このエピソードをこのレベルでアニメ化しただけでも、本作は成功したと言えます。ただし、監督曰くこの4話は「特殊な」お話だそうで、その後は賑やかな話が続くとのこと。私は今のところ原作は4巻まで読んでおりますがたしかに微笑ましい話が多く、どれもアニメ化されるのが楽しみな感じです。

現在の原作消化スピードから察するにこの全12話で原作を消費し尽くすことはほぼないと思われるので、2期も十分期待できます。 財政が厳しいためBDを買い集めるのは少々困難ですが、その他の書籍やグッズなどは集めたいと考えております。

 

のんのんびより 1 (MFコミックス)

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なないろびより(初回限定盤)(DVD付)

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のんのん日和

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気がつけばもうアニサマ

すっかり更新をサボっておりました。それもこれも3日目のチケットが取れなかったせいでモチベーションが…
それはさておき、明日、8月23日からいよいよAnimelo Summer Live 2013 FLAG NINEの幕開けです。中川翔子山本正之というまさかの切り札も来ましたが、当日のシークレットやコラボレーションも期待大。グッズはあまり買えないと思いますが、自分なりに楽しみます。あとは、天気予報の雨が気になるところです。

アニサマ追加アーティスト(7月10日追記)

6月1日、アニスパにおいてAnimelo Summer Live 2013 FLAG NINEの追加アーティストが発表されました。

1日目

2日目

  • サイキックラバー
  • 七森中☆ごらく部

3日目

鈴木このみは予想に入れていませんでした。これで2年連続の出演となります。実力は折り紙付きですが、最新のタイアップがやや少ないのが気になるところです。

その他は全て予想内でした。ごらく部で2日目のテコ入れを図った?のでしょうが、もう一押し欲しいところです。あとは1日目のそらまる(徳井青空)の体力が持つのかどうか…

(以下、2013/06/03追記)

本日、さらに追加アーティストが発表されました。これで発表は一段落でしょうか。

1日目

2日目

3日目

  • 後ろから這いより隊G

この中では藤田麻衣子とアフィリア・サーガが予想に入っていませんでした。藤田麻衣子緋色の欠片のテーマ曲で知られる歌手ですね。薄桜鬼で知られる吉岡亜衣加を予想に入れていたのですが、少し外された感じです。
アフィリア・サーガは昨年イーストが出演しましたが、まだアニサマのステージは大きすぎるかなと思っていたところでした。しかし今年はネプテューヌのタイアップをひっさげての出演。期待しましょう。
シンデレラガールズは読み通り。アイマスのオリジナルメンバーはミリオンスターズとしての出演となるようです。
後ろから這いより隊はB(喜多村英梨羽多野渉)やW(國府田マリ子久川綾)も交えての出演を期待したのですが、今年もG(阿澄佳奈松来未祐大坪由佳)での出演。\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!の振り付け?が気になるところです。

(以下、2013/06/17追記)

PGプレオーダー開始と同時のタイミングで、さらなる追加アーティストが発表されました。と同時に、「and more...(俗に言う安藤モア)」が消滅しました。出演者はこれでひとまずフィックスと言えるでしょう。
ちなみに筆者はいまだに3日目のチケットを確保できていません。

1日目

  • earthmind

2日目

3日目

earthmindは予想に入れていませんでしたが、ビビッドレッド・オペレーションなどでの活動からすると出演は確実かなと思っていたところでした(決して後知恵ではありません…)。

日笠陽子とpetit miladyも予想に入れていませんでした。日笠陽子進撃の巨人EDの他にもタイアップがあり、期待できます。petit miladyは竹達彩奈悠木碧のユニットですね。100%サイダーガールでは場内が水色一色になるのでしょうか。それにしてもまた3日目の競争率が上がるような配置を…

ところで注目すべきは、ソニー系アーティストであるearthmind、藍井エイル春奈るなの3組に「特別出演」の括弧書きがないことです。正式な出演者としての出演であり、アンコールでの登場や後日のパッケージ版への収録も期待できるかもしれません。もしこれらが実現したら、アニサマの大きな前進と言えます。

(以下、2013/07/10追記)

電光石火で完売した一般発売の後(もちろん私は買えませんでした)、ステージサイド等見切れ席の販売告知と同時にさらなる追加アーティストが発表されました。

1日目

  • FLOW

2日目

  • あいう♥らぶ
  • Gero
  • LiSA

3日目

LiSA以外はどれも予想に入れていませんでした。FLOWは一般アーティストながらもアニメソングを多く歌っており、どれが来ても盛り上がるので期待しています。個人的には交響詩篇エウレカセブンOPのDAYSを希望です。
あいう♥らぶはあいうらの声優によるユニット。「カニカニカニカニ…」のフレーズが印象的ですね。
GeroはBROTHERS CONFLICTのOPを歌っています。他に何を歌っているのかは不勉強なため、よく知りません…
南里侑香ブラッドラッドEDで来るのでしょうか。
i☆RisはムシブギョーやプリティーリズムのEDがあります。アニソンカヴァーアルバムも出しており、カヴァーやコラボも期待できます(まだ3日目のチケット手に入れていませんが…)

個人的には、今回の追加は少し拍子抜けといったところです。「まだ他に出るべき人(グループ)がいるだろうに!」という気持ちが強いです。でもまだ追加はあるでしょうし、当日のサプライズもあるのでまだ期待はしておきます…

(追記終) 

出演者の発表も一段落したと思われるので…

(7月10日更新)

このあたりで、1月に予想(妄想)した分との答え合わせをしてみます。赤字が当たり(出演決定)です。

殿堂入り
本命
対抗
声優・ユニット
未出演
ソニー系アーティスト

(レジェンド枠は省略)

一般アーティスト

以下は予想(妄想)に入れていなかった方々です。

出演歴あり

初出演

こうして見ると、意外と当たっているほうではないかと自画自賛してみたり。意外な方がまだ決定していなかったりもしますが、今後に期待しましょう。

 

幼馴染みの思い出(女の子編)

今回は趣味の話ではなく、私の昔の話です。

ギャルゲーやラブコメ漫画などでは「幼馴染みの女の子」が定番の設定となっていますね。実は私にもそれに該当する女の子が小学校の頃までいました。
しかも2人。どちらも私と同学年。家族ぐるみでの付き合いでした。

ひとりは背が高めで運動神経が良く、家も結構大きくてお嬢様っぽい子でした。現在の家に引っ越す前はすぐ近所だったので、よく遊んでいました。

もうひとりはどこにでもいそうなごく普通の子でした。こちらには2つ下の弟がいて、彼ともよく遊んだものです。

どちらもそうですが、私よりは姉との付き合いの方が多かったように記憶しています(同性ですし…)。
小学校低学年ごろまではよく一緒に遊んでいたのですが、高学年になるにつれ関係が疎遠になっていきました。中学になると完全に音信不通。今はどうしているのか知る由もありません。親に聞けば知っているのかも知れませんが(家族ぐるみの付き合い故)、わざわざ聞く理由もないので放置している現状です。

今にして思うと、関係が疎遠になる前にこちらからアクションを起こしておくべきだったのかも知れません。幼馴染みというポジションでも関係をキープしたまま高校ぐらいまで進んでいればどうなっていたか…後悔先に立たずですが。

EVE burst error

注意:本稿ではクリティカルなネタバレ記述を含みますが、可能な限り作品の詳細な内容については避けるように留意しているつもりです。15年以上前のゲーム作品であることもあり、「時効」ということでご容赦下さい(「犯人はヤス」みたいなものということで…)。

今回は私が前述のシャロムに次ぐぐらいの衝撃を受けたゲーム作品、「EVE burst error」(シーズウェア)について語ります。

本作は元々は1995年にPC-98用として発売された18禁アドベンチャーゲームだったのですが、1997年1月にセガサターン版が発売されて知名度が上がりました。私はあいにくこのサターン版しかプレイしていません。なので、本稿では他機種版(Windows逆移植版やその後のリメイク含む)などについては一切考慮していないことをご了承ください。

「EVE」の主人公は2人いて、それぞれの視点を任意に切り替えつつ進める「マルチサイトシステム」を売りにしていました。一人目は腕は立つが仕事が少ない探偵、天城小次郎(声:子安武人)。もう一人は政府機関のエージェント、本城まりな(声:岩男潤子)です。複数の視点から1つのストーリーを進めるという手法は前作である「DESIRE」でも採用されていましたが、その完成形であり金字塔であると言えます。
18禁ゲームの移植版だけあってお色気要素も豊富で、18歳以上推奨のレーティングで発売されました。殺人描写のグロテスクさもあったためでしょう。
コンシューマ移植にあたってフルボイス化され、豪華絢爛な声優陣も話題となりました。野沢那智若本規夫納谷悟朗茶風林飯塚昭三(全て敬称略)など、当時としても相当の大御所を揃えて大人のエンターテインメントを強力に演出していました。しかも、前述の彼らは全て脇役なんですよ…!子安武人演じる小次郎は稀代のはまり役であったことも印象に残っています。

ストーリーについて。まず物語の最初で、まりなは御堂真弥子(声:岡本麻弥)という少女の護衛を任されます。その護衛任務の間にまりなは真弥子との交流を深めていきます。
小次郎のシナリオではこの真弥子の本格的な出番はかなり後半にならないとありませんが、非常に衝撃的な形で登場することになります。では小次郎はそれまで何をするかというと、とある中東国家関係者の殺人事件の捜査にあたります。しかし捜査が進むごとに連鎖的に殺人が発生し…と言う内容です。この2つのストーリーが一本の線につながっていくさまは見事としか言いようがありません。続編などでもマルチサイトを採用していましたが、1作目である本作を凌ぐことはかないませんでした。

さて、EVEの何に衝撃を受けたかというと、ラストシーンでの真弥子の台詞です。

「笑ってよ、ねぇ…そうしたら私、幸せになれる。生まれてきた意味がある…」

どういうシチュエーションでこの台詞を発するかについては避けますが、わかりやすく例えると「自分の死に際に、周囲が深刻そうな顔をしているときに、とても安らいだ表情でこの台詞を言う」のです(真弥子は実際に死ぬわけではないのですが、あくまで「例え」ということで)。
エンディングはそれまでの殺人事件の解答編でもあるのですが、私はこの台詞一つに全て持って行かれ、「やられた」と思いました。と同時に、真弥子の運命と生き様に目から汗を拭いきれませんでした。
しかも、この台詞は物語中盤でまりなが真弥子を励ましたときの言葉を少し言い換えただけのものだったのです。

「人は皆幸せになる権利がある」
「笑う門には福来たる」

どちらもよく耳にする普遍的な言葉ですが、これを彼女なりに咀嚼して、その悲しい運命を知った上であのシチュエーションで情感たっぷりに問いかけられたら、涙腺崩壊は不可避です。コンピューターゲーム史に残る名台詞であると断言できます。

それと同時に、菅野ひろゆき氏はこの台詞を言いたい(真弥子というキャラクターを紹介したい)がために「EVE」というゲームを、小次郎とまりなを、壮大な世界設定を、前述のマルチサイトシステムをも作り上げたのではないかとさえ思えてしまうのです。
一人の視点で真弥子の全体像を浮かび上がらせるのは難しい、ならば他者の視点を用意しよう…という発想からマルチサイトシステムを採用したのでしょう。シナリオの手間が膨大になるのを承知の上で、このシステムを取り入れたのは感服です。菅野氏は若くしてもう鬼籍に入られてしまったのでもう検証が難しいのですが…

たしかにミステリーものとして見ると犯人捜しはほとんど困難な「無理ゲー」なのですが、本作はミステリーというよりは「大人のファンタジー」と言えるものなのでしょう。御堂真弥子という素晴らしいキャラクターを作り上げた故菅野ひろゆき氏に心から敬意を表します。

菅野ひろゆきメモリアル-Device to the skies-トリビュートブック

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魔城伝説III シャロム(追記)

今回は昔のゲーム作品について書いてみます。

私が小中高の頃はMSXが家庭用パソコンとして普及しており、コナミもその対応ゲームソフトを多数開発、販売していました。「魔城伝説III シャロム」(コナミ・1987・MSX、以下「シャロム」)もその一つなのですが、これが私にとってのベストゲームです。未だ持ってこれを越える作品とは出会っていません。

どんなゲームかと言いますと、主人公はゲームの世界に引き込まれたごく普通の少年(プレイヤー自身)のアドベンチャーです。フィールドを移動して村人と会話して、謎を解いたりアクションゲーム形式(他の形式もあり)でボスを倒し、主人公をゲームの世界に呼び込んだ張本人・大魔王ゴグを倒して現実の世界に戻ることが最終目的です。
当時MSXで人気を博していた魔城伝説シリーズの3作目にして完結編という位置づけで、シリーズのファンへのサービスも満載であるだけでなく、なぜか関西系ノリのギャグやダジャレも多く含まれていた作品でした。ゲームのセーブポイントには「セーブを司る」村人がいるのですが、これが全て当時の西武の選手名であったり、「オーマン」という湖があったりなど意味深な仕掛けも。
終盤に登場する箱入り娘パズルにはどれだけのプレイヤーが泣かされたことでしょうか。私もこればかりは解法なしにはクリアできませんでした。
山下絹代氏による音楽もPSG3音とは思えぬ完成度で、ゲームを見事に盛り上げてくれています。

主人公はゲーム好きの高校生で、同級生の女の子がヒロイン。それぞれ任意の名前を入力します。主人公が「シャロム」のゲームを始めようとしたとき、ゲームの世界に引きずり込まれてしまいます。その世界で1匹の雌豚と知り合い「ブタ子」と名付けて、主人公は元の世界に戻るべく大魔王ゴグを倒すための旅に出ます。

ゲーム中盤で過去作の主人公であったキャラクターから、シャロムはプレイヤーである主人公が将来現実世界で猛威を振るうであろう「サタン」と戦うための力を付けるため作られたゲームソフトであると伝えられるのです。ゴグに勝てないようでは現実世界を救うこともままならないであろうと。

さて、シャロムの何がすごいかというと、当時からゲームに対して「ゲームばかりやっていると現実と虚構の区別が付かなくなる」という偏見があったのですが、これを逆手に取ったストーリーにあります。意図的に現実と虚構の区別が付かなくなるような仕掛けを随所に盛り込んでいました。
まず、主人公がプレイヤー自身というのは物珍しくもないでしょうが、シャロムはこれが非常に重要です。主人公の名前を入力出来るのは当時から今においても当たり前ですが、ヒロインの名前も入力出来るのはあまりないのではないでしょうか(カオスシードなどありましたが)。これは女性プレイヤーに対する配慮であると考えられます。このヒロインにも秘密があるのですが、本稿では割愛します。

さらにエンディングでも、詳細は省きますが「全ては現実であり、ゲームでもある」ということを再確認させられるうえに、ゲーム中のキャラクターから「サタン」に勇気と愛を持って立ち向かえと檄を飛ばされます。本作に限っては「現実と虚構の区別が付かなくなる」ことは悪ではなく、むしろそれを促進しているのです。

いわば、私達一人一人は「現実」というゲームの主人公なのです。
ゲームの世界では誰もが勇気を持って悪に立ち向かい、勝利を収めます。
しかし、現実ではどうでしょうか。ゲームの中ではできていたことがなぜ現実ではできないのでしょう。必要なのは運動能力などではありません。愛と勇気、これだけです(顔を食べさせるヒーローとは関係ありません)。
前述「サタン」に対峙しているかどうかはわかりませんが、「敵に勝つ前に己に勝て」と言われるぐらいですから、「サタン」は既に私達一人一人の中に巣くっているのでしょう。サタンに勝つには一人一人の心構えが重要なのです。
何か宗教的な内容になってしまいましたが、「シャロム」はそれだけ壮大なメッセージを込められたゲームなのです。

今でこそ「一人一人がゲームの主人公」というコンセプトはMMORPGなどでは当たり前ですが、これをオンラインゲームなど夢物語であった1987年(昭和末期ですよ!)に既に形にしていたことが驚きです。バグや作り込みの甘さや未完成な部分が随所にありますが、この作品のコンセプトの前には微々たるものです。

しかし、こんなすごいゲームなのに未だ持ってリメイクやバーチャルコンソールなどでのDL販売などは一切なされていません。いろいろ難しいところがあるのでしょう。ですが、こんな時代だからこそ「シャロム」が伝えようとするメッセージが必要なのではないかと思います。
(2017/01/12追記)プロジェクトEGGで配信されています。是非プレイしてみてください。かく言う私は未だ購入していませんが…

www.amusement-center.com

ちなみに「シャロム」はヘブライ語で「平和」の意味で、日常の挨拶としても使われる言葉です。「世界が平和でありますように」というメッセージを感じさせるタイトルです。

いつにも増して取り留めのない文章になってしまいました。後日加筆修正するかも知れません。