乗合自転車の雑記帳

広島関連、漫画・アニメ関連の話題が多くなると思います。主にTwitterの補完として。

発売前の雑誌の内容をSNSで拡散することは

(2016/12/06・Togetterとツイートを追加しました)

(2017/07/31・コージさんのツイート内容を書き起こし追記しました)

本当はブログで書くのはよそうと思っていたことだったのですが、毎回毎回繰り返されて嫌気がさしたので書くことにしました。2chやふたばや海外サイト(どうやって入手しているのだろうか)などで発売前の雑誌の内容が掲載され、それをまとめブログがTwitterで拡散するゆゆ式由々しき事態についてです。どう考えても「情報漏洩」と断じざるを得ません。
まずはこちらのTogetter3つをご覧下さい。どれもあまり長くはありません。

togetter.com

togetter.com

togetter.com

ここで私が危惧していたことが今年も繰り返されてしまいました。まず、2015年10月現在放送中の「ご注文はうさぎですか??(以下、ごちうさ2期)」の製作決定発表です。
1月26日夜、突然ネット上を「ごちうさ2期決定」の言葉と画像が駆け巡り、Twitterのトレンド入りまで果たしました。SNSでの発信源が特定できないのでそのときのTwitter検索を張っておきます。

ごちうさ2期 since:2015-01-26 until:2015-01-27 - Twitter Search

しかし、これは発表前の情報でした。画像も出版社のECサイトから流出したものでした。

編集部のこのツイートの意味が分かるでしょうか。つまり、この2期決定を告知する表紙は発売日の30日まで伏せていなければならないものだったのです。にもかかわらず、漏洩してしまったのです。私ごときの力では到底抗えるものではありませんでした。
かくして30日を迎え、公式発表。

そしてこの公式のツイートで注意すべきことは、「正式発表をさせていただきます」という一文。これは、それまでネット上を駆け巡ったフラゲ・漏洩情報を黙認するということに等しいのです。漏洩を認めないのならば、わざわざ「お待たせいたしました…」などと書くわけがありません。情報漏洩にシビアであるべき公式がこのような態度でいいのかという疑問しか感じません。

この後も、うしおととらワンパンマンその他で同様の「発売前の雑誌内容の漏洩」が繰り返され、これが公式発表を嘲笑うかのようにまとめブログによって拡散されました。特にうしおととらはフォロワーを多数擁する漫画家さんにもファンが多く、そうした方々によって拡散に拍車がかかったという面もありました。
他にも、祝日絡みで早売りとなった雑誌や書籍扱い単行本(数日の早売りが通例となっている)の帯などによって本来の解禁日前に新情報が広まるケースも多々あります。これは明らかに解禁日の矛盾であり、即刻見直されなければならない事例と思います。

しかし、3月に私が最も怒髪天を衝いた情報漏洩が起こりました。実写映画版暗殺教室です。

www.cyzowoman.com

ジャンプのフラゲによる情報漏洩によって、公開まで伏せられていた「殺せんせー」の声の主(ファンの間ではバレバレだったという話もあるが、これは問題ではない)が暴露されてしまったのです。
そして3月21日に公開されて舞台挨拶に二宮和也がサプライズ登場。

www.cinematoday.jp

この記事によると、殺せんせーを二宮が演じていたことを「キャスト陣は誰も知らなかった、呆然としていた」などと書かれていますが、嘘乙としか言いようがありません。あれだけネット上を駆け巡ってTwitterトレンド入りもしたというのに今更知らぬ存ぜぬが通用するか、というものです。とんだ茶番劇でした。
しかしこれも、ジャンプフラゲの内容を無邪気に拡散する人がいなければ防げた事態だったのです。

この「早売りフラゲ」「早バレ」は常に非公式なものであり、全て必ず正しい情報であるとは限りません。過去にはこのような事例もあったのです。

田亀源五郎が「銀の華」アニメ化報道を否定、「ネタ」としての扱いに「心が折れそうになる」とコメント | BUZZAP!(バザップ!)

この一件の再来を危惧すると同時に、公式発表前の情報漏洩ということで「決定」が「中止」になる事態も起こりえます。発表前情報を拡散する方々はそこまで考えが至っているのか、いないのか。

では、どうするべきなのか

では、私達はどうすべきなのか。簡単です。未確認情報を見つけたらまず検索。その結果で公式や信頼できる情報源*1が報じていなかった場合はリツイートしない、話題にしない(「○○ってマジ?」というのもNG)、無視する。もし知人が話題にしていたらそれとなく(ここが重要)注意する。そして本来の発表を待つ。これだけで拡散は防げます。

情報解禁は交通信号のようなものだと思えばわかりやすいです。信号が青になる(公式発表される)のを待つのです。まとめブログは交通ルールなど絶対に守りません。赤信号でも大手を振って渡ります。そうした方々が渡っているからといって「あ、渡っていいんだ」などとは絶対に思わないようにしてください。決して「赤信号皆で渡れば怖くない」などと考えてはいけません。
ただ、今日のネットには意図的に「信号無視」しているというよりは「信号の概念を知らない」方々が圧倒的に多いように思われます。なので、公式や出版社や作家が率先して「交通ルール」を教えることが重要だと思います。しかし現実の公式は見て見ぬ振り(前述のごちうさ2期がその典型例)。出版業界はただでさえ出版不況と言われているのに、それに自ら荷担しているようなものです。

結局、雑誌や書籍の帯などによる発表をやめてネット上やイベントでの発表のみにするのがSNS全盛の今日では最善なのではないかと思います。これでは出版社はおもしろくないかもしれませんが、今のファンは「速報」を求めています。速報性で劣る紙メディアは初出し情報から手を引いて、インタビューや資料などじっくり読ませる記事にシフトしてはどうかと思うのです(ただ、こうした記事さえもまとめブログが発売前に拡散するという酷さ)。

この「早バレ」に対する懸念のツイートが2万7000RTを上げていますが、この方の言わんとすることは届いているのでしょうか。

(2017/07/31追記)このままだとやや読みづらいので、上記のツイートを書き起こしました(原文ママ)。

マンガ・アニメ業界だけに留まらず、どの業界でも。、「新商品」や「新情報」については「情報の公開日」というのが、あらかじめ内部や外部との取り決めにより決まっています。iPhoneなどが分かりやすいでしょうか。あれはAppleの発表会まで新作の情報は出ませんよね。

さて、情報公開日が決まったら中の人たちはその日に向けて働きます。間に合いそうになかったら徹夜して働いてでも間に合わせます。同時に、新作や新情報の発表に向けて広告費を始めとする莫大なお金も動きます。早バレという名の、公式発表前の情報漏洩は、その全てを無に帰す行為です。

まだ働いたことのない中高生の方は、ネットの早バレを見たり拡散する前に、どうぞそのことを思い出してください。あなたが雑誌の発売日前にタダで見ようとしている情報は、あなたの好きな作品の関係者の方が、必死に働いて〆切に間に合わせたものです。なおかつ、その1ページには莫大な費用がかかっています。

そして、一定の就労経験がある方。早バレを見ることは、他人の仕事をぶち壊しにすることと同等の行為です。自分がそれをやられたらどう感じるか、想像力を働かせてください。また、機密情報の漏洩は、大半の企業では処分の対象となる行為です。

もちろん早バレをネットに上げる人がそもそも100%悪いわけですが、例えば他人の家の壁に誰かが空けた穴があって、そこから中を覗いたことを咎められたときに、「穴を開けた人が悪いのであって覗いた自分は悪くない」という言い分は果たして通用するでしょうか。

早バレをネットに上げる人の大半は、ブログの訪問者を増やしてアフィリエイトで小遣い稼ぎをしたい人か、他人より早く情報を手に入れたことを見せびらかして優越感を感じたい人です。つまり、「早バレを見ないで無視し続けること」により、その作品の早バレはいずれ無くすことができます。

CCさくらでは出演声優さんが、血界戦線では原作者の方が、それぞれ早バレに関して苦言を呈していらっしゃいます。「新情報」を見たり拡散したりする前に、発信元が企業の公式アカウントのものなのか、信頼できるメディアのものなのか、どうぞ一呼吸おいてください。発信元がそうでなければ、今はもうどの雑誌も企業も公式アカウントやサイトがありますので、そちらに行って公式情報かどうか確認してみてください。
また、信頼できない発信元はあらかじめブロックしてしまうのも、早バレと遭遇しないための一つの手段です。

早バレ絶許マン、もとい、早バレを撲滅したいマンからのお願いでした。

「アニメ化などの早バレが出回った時点で、公式サイドが何らかの形で言及すれば良い」というご意見も見かけました。しかし、先に言った通り、関係する企業間の取り決めで「情報公開日」というものが決まっている以上、それは一つの企業の関係者の独断ではできません。
前倒しで発表するには、関係する全ての企業間で新たな調整が必要となります。それは「早バレについて新たなコストを割け(時間もお金も含めて)」ということと同じ意味です。関係者は限られた予算と時間の中で仕事をしているため、それは非常に難しいことです。ですから、関係者の方は、フライングで情報が拡散されていくのを黙って見ていることしかできないのです。

声優の緒方恵美さんもこのようなツイートしております。ただ、本当に伝わって欲しい相手には何のことか分かっていない(「信号の概念を知らない」)可能性が高いのが悲しいです。

最後に、私が幾度となくRTしているツイートを貼り付けておきます。

*1:一般的なニュースサイトなど