乗合自転車の雑記帳

広島関連、漫画・アニメ関連の話題が多くなると思います。主にTwitterの補完として。

思春期ビターチェンジ

今回は、今私が一押しの漫画を紹介します。将良「思春期ビターチェンジ(以降、思春ビタ)」です。

 

思春期ビターチェンジ(1) (ポラリスCOMICS)

思春期ビターチェンジ(1) (ポラリスCOMICS)

 
思春期ビターチェンジ(2) (ポラリスCOMICS)

思春期ビターチェンジ(2) (ポラリスCOMICS)

 

コミックナタリー - [Power Push] 将良「思春期ビターチェンジ」特集、作者ד先輩”えのきづのWEB作家共感対談 (1/3)

どんな作品かといいますと、小学校のときにふとしたことで中身が入れ替わってしまって何年も戻れず、というもの。「入れ替わりもの」は山中恒氏の「おれがあいつであいつがおれで」以降定番化したジャンルですが、どれもそう長い間入れ替わったままということはありませんでした。しかしこの「思春ビタ」は中学になっても高校になってもまだ入れ替わったまま。こういう作品は今までにありそうであまりなかったと思います。

それに本作の特徴は、入れ替わりものに定番の「入れ替わったお互いの身体に関心を持つ」的な展開がほとんどなく、入れ替わった後の生活や家庭環境の描写に比重を置いていることです。片や今まで自由に遊べていたのに厳しい家庭で遊ぶ時間がなくなってしまった。しかも両親の仲が非常に悪く、口喧嘩が絶えずいつも重苦しい空気に包まれている……。片や今まで一人っ子だったのに弟の面倒を見ないといけなくなった。しかもその弟が幼い故に鋭く、「中身が違う」ことに感付いてしまったり……。
ただし、思春期ならではの「身体の成長」については触れており、身体が否応なく「男・女」になりゆくことに戸惑い苦悩する2人もしっかり描かれています。それでも2人とも元の身体に戻れる日を信じて何かにつけてお互いを思いやる姿には、友情や愛情をも超越した独特の「絆」を感じさせます。

あと本作の特徴としては、一見すればすぐおわかりと思いますが、1ページ5コマで統一されていることでしょう。Webでの公開を意識したものとのことですが、これが不思議なテンポを生み出していて、映像化に馴染みそうな雰囲気を醸し出しています。というわけでアニメ化希望です(実写化はキャストが難しそう……)。

非常に拙い文で作品の魅力をほとんど伝え切れていませんが、一読の価値十分です。サイドバーに応援バナーを貼っておりますので、是非ご覧下さい。少女漫画とカテゴライズされていますが、男性でも十分に楽しめます。

余談ながら、本作には「ちぇんじ!!」というプロトタイプとも言える作品があって、作者の個人サイトで公開されています。こちらは既にエピローグが公開されていて、「どうしてこうなった……」としか言いようのない結末が提示されています。しかし私はこれは「あり得る可能性のひとつ」としてこれを捉えています。幸せな結末になることを願ってやみません。